平安堂 京都|株式会社 漆芸舎|京都・東京で古典技法の金継ぎを学ぶ|金継ぎ・漆芸修復

2023/01/10 22:28



在バチカン日本国大使館主催の日本バチカン国交樹立80周年事業の一環として、 2022年11月21日(月)~25日(金)の間、バチカン・イタリアの3都市で代表の清川廣樹が金継ぎを実演を交えて紹介いたしました。
この記事は、現地での活動の様子をお届けいたします。

立ち見がでるほどの大盛況!100名を越えるバチカンの要人・専門家が金継ぎに熱狂!

 
初日の11月21日(月)は、バチカン市国内のベネディクト16世ホールにて早速金継ぎのデモンストレーションとプレゼンテーションを開催。
バチカン美術館館長や各国大使を始めとする要人や、美術館修復部門の専門家といった限られた方々に向けたクローズドのイベントであったにも関わらず100名を越える皆さまにお越しいただき、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

 
金継ぎの実演
 
デモンストレーションでは、映像を交えながら金継ぎの基本工程をお見せしました。
清川は、昼間に訪れたバチカン美術館の作品群も金の下地には赤色が使われていたと話し、西洋と東洋の共通点についても触れました。
 
漆について質問をするバチカン美術館館長
 
実演終了後は、多くの皆さまからたくさんのご質問をいただきました。
特にバチカン美術館館長からは漆の特性について、なぜ黒を使うのか、生漆の効力など専門的な内容を熱心に訊いてくださり、公演の内容が深まりました。


ベネディクト16世ホールの入口。一般には立ち入りができないエリアにある。

バチカン美術館館長には、日本から持参した馬香炉(陶胎漆器)を寄贈。
なんとバチカン美術館のコレクションの一つにしていただけることに。

公演にラジオ収録、大使公邸での昼食会など予定が目白押し!


2日目の11月22日は、ローマ日本文化会館さまの中のホールにて金継ぎのデモンストレーションを行いました。
150席用意した席は早々に満席。予約不要・先着順だったため、情報公開当初から「どのくらい前に行ったら席が確保できるのか」といったお問い合わせが会館に殺到したとのことです。
当日は、雨にも関わらず大勢の方が列をつくり開場を待っていました。

 
実演前には、スイスのイタリア系ラジオ番組の収録も。
金継ぎの魅力や精神性について語りました。
※言語はイタリア語です

 
昼間は、岡田誠司駐バチカン特命全権大使の大使公邸の昼食会へお招きいただきました。
岡田大使自身も、過疎の集落で芸術のイベントを開催したり、味噌づくりのワークショップを企画したりとユニークな取り組みをされており、文化保存に対する危機感について清川と同じような想いを持たれていました。
 

会の最後には、馬香炉(陶胎漆器)を寄贈。

ベネチア東洋美術館にて2日間にわたり講演!地元紙への掲載も!


1日の移動日をはさみ、11月24日(木)・25日(金)の2日間は国立ベネチア東洋美術館にて、金継ぎのパフォーマンスを行いました。
ベネチア東洋美術館では2日間で合計約90名の方へ金継ぎを紹介いたしました。


各回用意した40席はすべて満席。バチカン、ローマに続きベネチアでも金継ぎへの関心の高さが伺えました。
初回の24日は、美術史を学ぶ20名の地元高校生の皆様がご参加くださり、熱心に清川の話に耳を傾けていらっしゃいました。

 
実演の合間には、東洋美術館の修復室にもお招きいただき、ちょうど修復中の漆器について、清川の知識を時間の許す限りお伝えさせていただきました。

 
2日目はベネト州の文化省局長の姿も

ベネチアの地元紙にも掲載されました。
 

ファエンツァ国際陶磁器美術館 館長と懇談。バチカン修復研究所への訪問も実現!


ベネチアでの公演をもって80周年事業としての活動は終了しました。
11月26日以降は、イタリア各地の美術館や職人の方々を訪ねながらローマへ戻っていきました。
特に、11月29日(火)・30日(水)に訪れたエミリア・ロマーニャ州のファエンツァという街は、国際的な陶磁器の街として知られ、清川も約3年前から訪れたいと思っていた場所でもあり、今回ようやくその願いが叶いました。
 

街の中心部にあるファエンツァ国際陶磁器美術館(MIC)は、古今東西の陶磁器を集めた素晴らしい美術館です。
このMICが中心的な役割を果たし、隔年で開催される陶磁器のフェスティバル「Argillà」は、イタリア国内のみならず世界中から人が訪れます。

 
今回、そんなMICのクラウディア・カザーリ館長と懇談をする機会をいただくことができました。
MICもまた修復の専門チームを擁しており、金継ぎや清川先生の修復の知識に高い関心を示してくださいました。



12月1日(木)には、ローマに再度移動。
バチカン美術館の修復研究所からリクエストにお応えして、研究所への訪問が実現。
陶磁器部門、東洋美術部門、紙部門、モザイク部門の4ヶ所の非公開エリアへ特別に入らせていただくことができました。
残念ながら研究所内は撮影許可が降りなかったためお見せできませんが、様々な修復を手掛けてきた清川のアドバイスは短い時間ながらも現場の修復師の方々にインスピレーションを与えたようで大変喜ばれました。
 
以上で2週間におよぶバチカン・イタリア訪問は終了しました。
渡航にあたり、ご尽力を賜りました外務省、在バチカン日本国大使館の皆さま。そして国際交流基金ローマ日本文化大使館の皆さま。国立ベネチア東洋美術館、ファエンツァ国際陶磁器美術館、バチカン修復研究所の館長およびスタッフ各位、そして何より日頃より漆芸舎を支えてくださる皆さまにこの場を借りて感謝申し上げます。


主催:在バチカン日本国大使館
共催:ローマ日本文化会館、国立ベネチア東洋美術館、株式会社 漆芸舎

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